第1/3回 国際人材を育てる:アジアと共に成長2

「ここは日本だからね」の壁に気づく

昨日も「身近な国際化」セミナーに参加してきました。前回、同じセミナーで感銘を受けた立命館アジア太平洋大学(APU)の伊藤先生のお話。日本がこれから本当に成長していくためには、アジアとの協働しかないと強調されていました。

「ここは日本だからね」の壁

先生のお話の中で、一番考えさせられたのは「ここは日本だからね」という無意識のひと言が、多くの優秀な国際人材にとって大きな障壁になっているという現実です。APUで学ぶ留学生は、国を代表するほど優秀で、英語や母語はもちろん、徹底した日本語プログラムで、卒業時には高いレベルの日本語も身につけているそうです。しかも、グローバルトップ企業が幹部候補として大卒で採用する。卒業生のみなさんは、大きな期待をもって入社するそうです。ところが、実際に東京本社で働いてみると、

  • グローバル企業とは言い難い「日本」企業
  • 女性で外国人というだけで、社内で最下層扱いになる
  • 「カイゼン」や「日本流」に縛られすぎて、柔軟な発想や働き方ができない

といった違和感を抱き、ショックを受けて母国へ帰ってしまうというのです。彼らは「日本が好き」「日本に残りたい」と思っているにもかかわらず、企業文化やアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が原因で、その夢を諦めざるを得なくなる。これは企業にとっても大きな損失ではないでしょうか。

私たち日本人は、世界からは、誰にでも優しく宗教による差別もなく公平と評価されているそうです。しかし、組織に属すると“同調圧力”が強く働きやすい。例えば新しい提案をしようとしても、「前例がない」「日本ではこうしてきた」といった理由で却下される――そんな経験をした外国籍社員は少なくありません。
この「ここは日本だからね」という一言は、当事者にとっては非常に重い壁。その壁が、優秀な国際人材の活躍の場を狭めてしまっているのです。

 

みなさんの会社はいかがでしょうか。

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