適応課題 第8回:4タイプ総まとめ。自走共創への道を探る
シリーズでお届けしてきた「適応課題」もいよいよ総まとめ。
ここまで、「ギャップ型」「対立型」「抑圧型」「回避型」の4タイプを見てきましたが、
それらを総合しながら、どうやって会社が自走共創へ進化していけるのか――
今回はその視点を深掘りしてみたいと思います。
1)4タイプの振り返り:どこが一番痛かった?
- ギャップ型:
- スローガンと現場の行動がズレている状態。
- 未来のビジョンを描ききれずに、カッコいい言葉だけが先走る。
- 対立型:
- 「営業 vs. 経理」など、正しい×正しいの衝突。
- 社長の一存や力関係だけで決めようとし、組織がギスギスする。
- 抑圧型:
- 言いにくいことを言わない、沈黙がリスクを増幅。
- 表面上は平和でも、実は会議後の裏チャットで炎上…なんてことも。
- 回避型:
- 痛い問題に手をつけず、簡単な施策でごまかす。
- 実際には本質が放置され、離職や業績低迷が進む。
振り返ってみて、「あ、うちの会社はここに当てはまりそう…」と感じるケースはあったでしょうか。
2)なぜ「自走共創」がカギになる?
4タイプを乗り越える先にあるのが自走共創。
- 社員一人ひとりが、自分の判断で動き、周りと連携しながら新しい価値を生む状態。
- 「社長が決めないと何も動かない」や「この部署とあの部署が不仲」などの問題を超え、
自分たちで議論・合意し、スピード感をもって行動する組織に変わります。
「そんな理想論、難しくない?」と敬遠されがちですが、
実は4タイプの問題点をつぶしていくと、自走共創へ自然と近づくことに気づくはずです。
3)エグゼクティブコーチング × パーパス意訳がなぜ効く?
ここで繰り返し登場している二つのキーワードが、
**「エグゼクティブコーチング」と「パーパス意訳」**です。
● エグゼクティブコーチング
- 社長や経営幹部の「成功体験に固執した思考」をほぐし、
- シンプルな質問で未来をイメージさせる。
- すると、ギャップ型や対立型、抑圧型、回避型…どれであっても「いま何を変えるべきか?」に
経営トップ自身が気づきやすくなります。
● パーパス意訳
- 会社が掲げるパーパスを「各部署・各人が具体的にどう行動するか」に落とし込む。
- そのとき、表面的なスローガン(ギャップ型)や力任せの対立解消(対立型)、
言いにくいことを隠す(抑圧型)、根本問題を避けて簡単策を取る(回避型)といった
誤りに気づきやすくなる。 - 「何のために変わるのか」が共有されれば、社員は自ら動き始め、自走共創が加速。
4)自走共創へ向けて何から始める?
「うちの会社はいくつかのタイプが混在しているんだけど…」という声もあるかもしれません。
大丈夫。まずは目の前にある問題を“パーパス起点”で問い直すところから始めましょう。
たとえば、
- ギャップ型を感じたら:「そのスローガン、現場の行動につながっている?」
- 対立型に苦しむなら:「正しい×正しいをどう共創に活かす?」
- 抑圧型がはびこるなら:「言いにくい意見を言える場はある?」
- 回避型が見えたら:「本当に解決すべき問題を避けてない?」
これらをパーパスに照らして考えれば、社長やリーダーが「ん? こっちの方が大事なんじゃ…」と
気づくきっかけになるはずです。
5)事例から学ぶ:4タイプを超える瞬間
今までの「対立型」のケースでは、パーパスを意訳して営業と経理が歩み寄りました。
「抑圧型」の例では、「そもそも5年後この事業はどうなっている?」と問いかけたら
沈黙が破られました。
「回避型」の離職問題では、「給与アップだけでは無理だよね…」という真の痛みに気づき、
英語運営や現地幹部登用に踏み切る流れが生まれました。
すべて、会社が“社会への存在意義”をちゃんと意訳し、当事者が腹落ちするプロセスを経ています。
エグゼクティブコーチが、社長や幹部の思考枠を外すのをサポートするのも重要なポイントです。
6)まとめ:4タイプ総ざらいの先にある“本当の変革”
ギャップ、対立、抑圧、回避――
どれも会社によくある“つまづきパターン”ですが、
一つひとつ丁寧に見ていけば、自走共創への道が自然と開けてくることが分かります。
- トップが自分の枠を外す
- パーパスを意訳し、部署や個人レベルの行動に落とす
- 社員が自主的に動き出し、組織が走り始める
“経営者の指示待ち”の会社から、“みんなで考え動く”会社へ――。
そんな変革は大変な道のりですが、4タイプを総合的に捉えて対応することで、
意外なくらいスムーズに進む可能性が高いのではないでしょうか。