第2/3回 国際人材を育てる:アジアと共に成長2

アジアに対する「本気度」を問われる

前回は、日本企業における「ここは日本だからね」の壁についてお話ししました。今回は、私が先生に質問した「海外現地法人での現地リーダー育成」に対する示唆をご紹介します。

「どれだけタイを愛していますか?」

私が先生に質問したのは、現地法人をローカル幹部中心で運営したいというタイの日本の現法社長のお話でした。しかし、実際にローカル人材が会社に残ってくれない、思い描いたように現地が回らない…と悩んでいるという例を挙げたところ、返ってきたのは意外な答えでした。

「どれだけタイを愛していますか? どれだけ本気でタイの発展を考えていますか?」

日本本社から言われたからとか、自分のキャリアのためとか、そうした“自分都合”ではローカル社員はついてこない。給与水準や待遇だけの問題ではなく、「本当にタイと共に成長したいのか?」という覚悟の有無が相手にも見透かされてしまうのだと。

日本企業が“アジアと共に成長”するために

これは日本企業に入社する外国籍社員にも通じることだと感じました。「アジアと共に成長」と言いながら、最後には「でもここは日本だから」と日本式を押し通してしまう――。そんな企業文化は、優秀な国際人材の心を遠ざけるばかりです。

企業側は給与水準や待遇の問題にばかりに目を向けがちですが、そこだけではない。現地の人たちが「自分たちの国を大切に思っている」と感じられるかどうかが、彼らのモチベーションを大きく左右するというのです。これは、企業にとって大きな損失であるだけでなく、長期的には日本の国際的なプレゼンス低下に拍車をかけるリスクがあります。

どうすればこの現状を変えられるのでしょうか。次回はそんなことを考えてみたいと思います。

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