代表メッセージ

自走型組織構築の原点

私は、五度の大規模な経営変革に携わり、約4万人規模の意識改革プロジェクトで、「戦略を社員が理解しても行動に移せない」という現実に直面しました。社員の80%以上が目的を理解していると答えたにもかかわらず、行動に移したと回答したのはわずか20%以下。どれだけ努力してもその壁を超えることはできず、変革プロジェクトはそのまま終了―『行動』のハードルの高さを痛感させられました。

失敗から得た確信

その過程で気づいたのは、社員が自ら動き出すためには「自分ごと」として戦略を理解し、行動の理由を自ら見つける必要があるということです。トップダウンの指示ではなく、社員一人ひとりの力を引き出す「対話」と「共創」が、組織を変える鍵でした。

今、届けたいこと

私がたどり着いた「社員が自走する組織づくり」のノウハウは、経営者・リーダーの皆さんにこそ役立つものだと確信しています。私は、リーダーたちが孤独や迷いから解放され、自分の力を信じて変革を推進できるよう、全力で寄り添います。

略 歴

大手精密機器メーカーにて約29年間、広報、宣伝、ブランド戦略、マーケティング、理念再構築、風土改革、組織開発に携わる。5度にわたる企業変革を推進し、国内外40,000人を対象とした意識改革プロジェクトをリード。その後、外資系プロフェッショナルファームで日本地区チーフ・ブランド・オフィサー(執行役)を務め、独立。

主な経験

  • 20年間で5度にわたる企業変革の推進
    変革の推進ストーリー
  • 4万人規模の意識改革プロジェクトをリード
    80%の「理解」を実現
  • 戦略未達の経験から学び、社員が自ら動くアプローチを構築

学歴・資格

  • 英国マンチェスター大学ビジネススクール MBA取得
  • エグゼクティブコーチ(CBLAC)資格

座右の銘

「質実剛健」- 枝葉末節にとらわれず、誠実に本質を追求する。

趣味・特技

剣道5段。剣道を通した国際親善を目指す町道場で週1回指導。

ストーリー
五度にわたる企業変革

2003年—5,000億円規模の対等経営統合

5,000億円規模の2社の対等経営統合が決まったとき、私は、2つの会社が一体化するためのコミュニケーションを担うことになりました。しかし社内は、統合を前にして緊張感でいっぱいでした。「うちが主導権を握る」「相手会社に好き勝手はさせない」。そんな感情が社内に渦巻き、統合を推進するには大きな壁があると感じました。

統合の相乗効果を目指し、経営層と連携して徹底的にコミュニケーションを行いました。「統合したからこそお客様に選んでいただける企業になれる」 反目するのではなく未来に意識を持てるよう、働きかけ続けました。その結果、1年後には「一体感が生まれた」という報告が上がり、社内の雰囲気も随分と和らいでいきました。

しかし、期待していたようなビジネスの相乗効果は実現せず、「社員の自走」という本当の変革には至りませんでした。 このとき、私は変革にはただの一体感だけではなく、社員一人ひとりが自ら動き出す「自走」の力が必要だと痛感しました。


2006年—創業事業の撤退による3,000人規模の再配置

次の大きな挑戦は、両社の創業事業からの撤退と、それに伴う3,000人の再配置でした。歴史のある事業からの撤退は、多くの社員にとっても誇りやアイデンティティの一部を失うようなものでした。

「会社に切り捨てられた」「もう信じられない」という声が社内にあふれていました。 私はコッターの8ステップを活用し、経営層と協力しながら危機感を醸成し、全社を巻き込む変革スローガンを掲げ、社内の意識改革に取り組みました。

その結果、8割の社員が変革の必要性を理解しましたが、肝心の行動に移せる社員は少数でした。

「で、自分は何をすればいいのか?」という声が多く、またも「自走」は生まれなかったのです。理解を得たものの、社員が自分の役割として動き始めるには至らない。セオリーに基づき徹底して推進したのに・・・私はもどかしさを感じました。


2013年—製造業からサービス業へのビジネスドメインの転換

その後、企業として大規模なビジネスドメインの転換に取り組むことになりました。製造業からサービス業への変革は、企業の根幹に関わるものです。マッキンゼーの7Sモデルに従い、社内の人事制度や働き方、さらには組織構造まで見直しました。

経営陣は、ソリューションビジネス専門の新設部門を立ち上げ、海外ラボも設けて、新たな共通価値を掲げ、徹底した組織変革に挑みました。

ビジネスドメインの転換という戦略自体は社員に理解され、共通価値も意識改革の手助けとなりましたが、またも社員の声は「で、私は何をするべきなのか?」といった戸惑いの声がほとんどでした。

彼らが自分ごととして動けるようになるには至らず、これまでにない大規模な変革でも、社員の「自走」を引き出すことはできませんでした。再び、私はもどかしさを感じました。


2019年—4つのグループ会社の間接部門を統合しシェアード会社を設立

2019年、外資系プロフェッショナルファームの日本地区執行役の一人として、4つのグループ会社の間接部門を統合するプロジェクトに携わりました。立ち上げたシェアード会社で、一つになった4社の各部門が専門性を発揮することが期待されましたが、社員たちは「急に専門家になれと言われても・・」「元の会社に戻りたい」という感情を抱えていました。

私は再度コッターの8ステップを活用し、統合の目的を丁寧に伝える活動を行いました。社員の理解は進みましたが、「どう動けばいいのかわからない」という声は減りませんでした。**統合の意義を理解してもらえても、現場での行動には結びつかなかったのです。**異なる会社で行っても結局、「社員の自走」を生み出すことはできませんでした。

経営変革の根本的な課題――社員が自ら考え、自ら動く状況をどう作るか

こうして私は、どんなに戦略や制度、コミュニケーションを駆使しても、「社員の自走」が生まれない現実に直面しました。表層的な変革がいくら進んでも、社員が主体的に動かない限り、本当の変革には至らないと痛感したのです。変革に必要なものが何なのか、私はここで初めて「社員が自ら動き出すにはどうしたらいいのか」という問いと本格的に向き合うことになりました。


2021年—社員が自ら動き出した瞬間

最後の挑戦は、経営層の一人として携わった、4つの会社にまたがるある事業部の連携促進プロジェクトでした。4社の該当事業部が連携し、顧客に一貫したサービスを提供することが目的でしたが、社員たちは「利益は出ている。連携は必要ない」「連携でサービス品質が下がる」と懐疑的な態度を示していました。

私はこれまでの方法を捨て、新たなアプローチに踏み切りました。討議をとおして4社の事業部リーダー層に、「この企業グループのパーパスを自分の事業でどう考えるか?」意訳してもらうことにしたのです。すると、彼らの中に変化が現れ始めました。自社の課題ばかり主張していたリーダーたちが、社会への貢献を考え始めたことで、4社の連携の必要性を自ら見出すようになりました。

その後は、連携が加速していきました。リーダーたちが話し合った「パーパスの意訳」を組織に持ち帰り討議。その過程を通してメンバーたちにも連携する意識が高まります。その事業における4社統一の「パーパス」ができ、その実現のために何をするか、統一の事業戦略、統一の実行計画が出来上がりました。

メンバーはそれに基づいて、自らの手で行動計画を練り直し行動に移す姿を目の当たりにしたとき、私は初めて、社員が自ら動き出した瞬間を実感したのです。

「これが自走だ……!」

その光景に胸が熱くなりました。私は長年追い求めてきた「社員が自ら動く組織」をようやく目の当たりにしたのです。これこそが本物の変革だと確信しました。

その後、4社にまたがる別の事業で展開したところ、4つの事業とも連携が起き自走が始まりました。この経験から、私は「社員の自走を促すアプローチ」が再現可能であると確信し、このメソッドを使って、同じ課題を抱える企業を支援したいと思うようになりました。


「個と組織がともに輝く豊かな社会の実現」

このパーパスを掲げ、組織が本質的な変革を遂げられるよう、コーチャルオフィスを立ち上げに至りました。